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2026/03/12

失敗しないTikTok企業アカウントの立ち上げ方:KGI/KPI設計とペルソナ設定

はじめに:「とりあえず動画を作ってみる」は失敗の始まり

「他社もやっているから、うちもとりあえず若手社員に踊らせてみよう」「流行りの音源に合わせて自社商品を紹介してみよう」

企業がTikTokを始める際、もっとも陥りがちな罠がこの「とりあえず見切り発車」です。厳しい現実をお伝えすると、戦略なきTikTok運用は、時間とリソースを浪費するだけでビジネス的な成果を生みません。

TikTokにおいて「再生回数」は単なる通過点です。企業がTikTokを運用する本当の目的を達成するためには、アカウントを開設して最初の動画を撮影する前に、確固たる土台となる「KGI/KPI設計」と「ペルソナ設計」が不可欠です。

1. 企業のTikTok運用における「KGI」と「KPI」の設計

KGI(重要目標達成指標)とは最終的なゴール、KPI(重要業績評価指標)とはそのゴールに到達するための中間目標です。TikTokの運用目的によって、追うべき数字は全く異なります。

自社のアカウントがどのパターンに当てはまるか、まずは明確に定義しましょう。

パターンA:【採用目的】の場合

  • KGI(最終目標): 月間の採用エントリー数 〇件、採用説明会への参加 〇名
  • KPI(中間目標):
    • プロフィールリンクからの採用サイト遷移数
    • 動画の視聴完了率(会社の雰囲気を最後まで見てもらえたか)
    • コメント数(求職者からの質問やポジティブな反応)

パターンB:【BtoBのリード獲得(見込み客)】の場合

  • KGI(最終目標): ホワイトペーパー(資料)のダウンロード数 〇件、問い合わせ 〇件
  • KPI(中間目標):
    • プロフィールリンクへの遷移率
    • 動画のセーブ(保存)数(「後で業務に役立てよう」という熱量の高い見込み客の証拠)

パターンC:【BtoCの店舗集客・売上向上】の場合

  • KGI(最終目標): TikTok経由の来店数 〇人、ECサイトでの売上 〇万円
  • KPI(中間目標):
    • シェア(共有)数(「今度ここ一緒に行こうよ!」というクチコミの発生)
    • 特定のハッシュタグ(例:#〇〇カフェ)のユーザー投稿(UGC)数

「フォロワー数」や「いいね数」はあくまで表面的な指標に過ぎません。自社の売上や採用に直結するKPIをどこに置くかを、社内で事前に合意形成しておくことが重要です。

2. TikTok特有の「ペルソナ設計」とは?

ゴールが決まったら、次はそのゴールに導くための「ターゲット(誰に届けるか)」を決めます。ここで注意すべきは、TikTokのペルソナ設定は、従来のマーケティングとは少し異なるアプローチが必要だという点です。

「20代、男性、都内勤務の営業職」といった属性情報だけでは、TikTokの動画企画は作れません。重要なのは、「その人がどんな心理状態でTikTokを開いているか」という文脈の設計です。

良いペルソナ設定の例(BtoB向けSaaSツールの場合)

  • 基本属性: 30代前半、中小企業の総務部リーダー
  • TikTokを開くタイミング: 仕事終わりの帰りの電車内、または寝る前のベッドの中。
  • 抱えている悩み(インサイト): 「毎日アナログな事務作業に追われて疲弊している。もっと楽に仕事が終わる方法はないか?でも、難しいIT用語は読みたくない」
  • TikTokに求めているもの: 頭を使わずにサクッと見られて、明日からすぐに使えるちょっとした裏技や、「あるある」と共感できるコンテンツ。

ここまで解像度を上げることで、初めて「よし、自社のツールの宣伝ではなく、『総務部あるあるの非効率作業3選と、それをスマホ1つで解決する裏技』という企画を作ろう」という、ユーザーに刺さるコンテンツのアイデアが生まれます。

3. 「企業の言いたいこと」と「ユーザーの見たいこと」の重なりを探す

ペルソナが明確になったら、最後に「コンセプト(発信の軸)」を決定します。

企業アカウントが失敗する最大の原因は、「自社が言いたいこと(新商品の機能、会社の歴史など)」だけを一方的に発信してしまうことです。TikTokユーザーは、企業のCMを見にきているわけではありません。

  • 企業が言いたいこと(専門知識、商品の強み、社風)
  • ペルソナが見たいこと(エンタメ、役立つノウハウ、共感できる悩み解決)

この**2つの円が重なる部分こそが、御社がTikTokで発信すべき「コンセプト」**です。

まとめ

アカウント立ち上げ時の「KGI/KPI設定」と「ペルソナ設計」は、家づくりにおける基礎工事と同じです。ここがグラグラなまま動画を作り始めても、途中で「何のためにやっているんだっけ?」と運用が迷走してしまいます。

動画の撮影ボタンを押す前に、まずは数時間、マーケティングチームや現場のスタッフを交えて「誰に・何を見せて・どう行動してほしいのか」を徹底的に言語化してみましょう。それが、TikTok運用を成功に導く最大の近道です。